大人になっても治らない場面緘黙症

成長したら自然に治る?

女子

幼児期に発症しやすい場面緘黙症は、気長に待てば自然の治るものではありません。

 

選択性緘黙と別名があるように、最初は、家庭や家族の前では、普通に話せるのに一歩外に出て保育園や学校に行くと会話ができなくなる状態です。しかし対応を間違えると、学校や会社だけでなく家庭内でもまったく話せなくなる「全緘黙」になることもあります。

 

脳機能に遅れがあるわけではない

 

脳機能に遅れがあるわけではありませんが、単なる恥かしがり屋とか人見知りではありません。おうちでは、とても明るく元気です。
でも周りが間違った対応をつづけると、小学校、中学校、高校、成人と長引いてしまうことがあり選択性緘黙から全緘黙になるケースも見受けられます。私が緘黙だったのは、幼稚園から小学校にかけてですが「ねえしゃべって」「声聞いてみたい」「あ〜とかう〜とか言えないの?」と周りの子や先生からしつこく言われました。

 

耳は、ちゃんと聞こえているので「何かしゃべって」ということばにひどく傷つきました。自分でもどうして家以外の場所に行くと声が出なくなるのかわかりませんでした。今のようにネットもないので緘黙ということばすら本人も親も知らずに来ました。

 

しゃべれなくても文字を書くなどコミニケーションをはかる手段は、いろいろあるのでなんとかなりましたが、文字も書けない幼稚園や保育園の頃は、それができません。だから周りの大人(保護者や担任)は、子どもがどんな状況で、どう困っているのか?しっかり把握することが大切です。


気長に待てば自然に治るは、嘘!場面緘黙症の苦しみ

貝殻

緘黙症の症状は、1人1人違い対応の仕方や対処法が確立されているわけではありません。親は、もちろんのこと保育園や幼稚園の先生、学校の教員やスクールカウンセラー、養護教諭だからといって場面緘黙について十分に理解し正しい対応がわかっているわけではありません。

 

スクールカウンセラー(スクールアドバイザー=SA)(スクールソーシャルワーカー=SSW)は、大学教員・臨床心理士・精神科医などの資格を持っていなければなりません。実際に場面緘黙の子を担当しない限り知識で得た緘黙児の対応は、手探り状態のことが多いのです。

 

場面緘黙の出現率

 

気長に待てば自然に治るわけではないことを理解してください。場面緘黙症の苦しみは、緘黙だった時間だけのものではありません。大人になり治ったとしても苦しみやモヤモヤは、一生続きます。


対応しだいで子供のうちに改善することもある

こども

家庭不和、しつけ、家庭内暴力、虐待、家庭環境など原因を特定できないのが、緘黙症です。家では、普通に会話できるのに保育園や学校では全く喋れず、声も出すことができない私に、「しゃべって」と先生も友達も言いました。勇気を出してしゃべろうと思うのですが周りに言われればいわれるほど緊張しプレッシャーになり声が出なかったことを思い出します。

 

国語の音読、音楽の合唱はいつも地獄!克服できるきっかけがあった

 

国語の音読、音楽の合唱は、いつも地獄の時間でした。他の子が当たり前に話せているのに自分は、どうしてしゃべれないんだ?と自分を責めて落ちこむこともありました。小学校高学年の担任は、音楽が好きなY先生でした。それまでの担任は、クラス全員の前でキラキラ星を歌わせ評価するスタイルでした・・でもY先生のテストは、違っていました。

 

「歌謡曲でも良いよ、先生が知ってる曲なら」「歌苦手な子は、笛でもハーモニカでも良いよ」「ピアノ弾いても良いしピアニカでもOK」というユニークなテストでした。私は、声が低くて歌が苦手というMちゃんとペアになり笛で二部合奏をしました。緊張しながら吹き終えたとき「キレイな音ね」といってくださいました。自分1人だけが苦手だと思っていたことを、だれかのチカラを借りて評価されたときの喜びは、格別なものでした。

 

私の中の氷みたいな塊りが溶けていくのが分かりました。はじめは、小声のヒソヒソ声で話せるようになり少しずつ克服できました。

 

私は、周りの大人が強要せずに見守ってくれたことや友達のおかげで克服できましたが、対応しだいでは子どものうちに改善するものだそうです。数年間辛い思いをしてきましたが、中には高校大学社会人と大人になっても緘黙(かんもく)の症状が続く人もいます。